日本臨床外科学会雑誌
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バセドウ病を合併した重症筋無力症の1例-甲状腺亜全摘術と内視鏡下胸腺摘出術による一期的手術の経験-
小池 英介山下 弘幸大島 章渡辺 紳内野 眞也高津 圭介山下 裕人志村 英生野口 志郎
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2000 年 61 巻 4 号 p. 881-885

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抄録

重症筋無力症に様々な自己免疫疾患,特にバセドウ病の合併が多いことはよく知られている.従来の治療法では甲状腺亜全摘後,甲状腺機能の安定化を待ってから二期的に胸腺を摘出する方法がよく用いられてきた.しかし近年,術前管理の進歩で術後に甲状腺クリーゼをおこす危険が極めて低くなったこと,また低侵襲でかつ美容的にも優れた内視鏡下手術により胸腺を摘出できるようになったことなどを考慮すると,一期的な手術も十分可能と考えられる.今回われわれは,バセドウ病と重症筋無力症を合併した27歳の女性に対して,一期的に甲状腺亜全摘術と内視鏡下胸腺摘出術を行った.検索し得た限りでは,内視鏡下で胸腺を摘出した一期的手術の報告はなかった.今後,この術式は治療法の選択肢の一つになり得ると考えられたため報告する.

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