日本臨床外科学会雑誌
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著明な白血球増多と高カルシウム血症を伴った甲状腺分化癌の未分化転化の1例
国末 浩範田中 克浩園尾 博司紅林 淳一下妻 晃二郎三上 芳喜
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2000 年 61 巻 4 号 p. 886-889

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抄録

患者は63歳の女性.平成7年12月に当科で甲状腺分化癌,多発骨転移のため甲状腺全摘術を施行した.術後はTSH抑制療法と131Iによる内照射を計3回施行した.平成11年2月3日,外来受診時に食欲不振,口渇,軽度意識障害を認めたため入院となった.入院時血液・生化学検査で炎症所見と高カルシウム血症を認めた.胸部X線で多発肺転移を認めた.67Gaシンチでは両側中下肺野と左腸骨部に淡い集積を認めた.左腸骨の骨転移部の組織診断では未分化癌に矛盾しない所見であった.入院後の経過では肺転移が急激に増大し,呼吸状態が悪化し,平成11年3月12日死亡した.血清中のG-CSF, PTHrPなどの各種サイトカインの上昇を認め,このことが白血球増多を含む炎症所見,高カルシウム血症の原因であると考えられた.

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