重篤な症状を呈したMorgagni孔ヘルニア2症例を経験したので報告する.症例1は63歳,女性.呼吸困難を主訴に来院.分娩歴3回. 60歳より気管支喘息・肺炎で入退院を繰り返していた.胸部X線上,右心横隔膜角にガス像を含む腫瘤影を認め,注腸にて胸骨後部より右縦隔内に嵌入し右肺を圧迫する結腸が描出され,本症と診断した.ヘルニア内容による圧迫が気管支喘息・肺炎の憎悪因子として考えられたため,本症に対し手術を行うこととした.経腹的に修復術を施行し,ヘルニア内容は回腸および盲腸であった.症例2は83歳,女性.嘔吐・腹痛を主訴に来院.分娩歴4回.胸部X線にて症例1と同様の所見を認め, CT・消化管透視・超音波にて本症と診断した.本症によるイレウスと判断し,症例1と同様の手術を施行した.ヘルニア内容は胃,横行結腸,大網であった.本症は稀な疾患であるが発見され次第手術を行うべきと考えられた.