日本臨床外科学会雑誌
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早期胃癌穿孔の1例
船井 和仁金丸 仁横山 日出太郎白川 元昭橋本 治光吉野 吾朗
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2000 年 61 巻 4 号 p. 954-957

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抄録

早期胃癌穿孔は稀であるが,今回,早期胃癌の穿孔例に対し,二期的手術により根治術を施行した症例を経験したので報告する.
症例は59歳,女性.心窩部痛を主訴に当院を受診し,胸部立位単純X線写真で,両側横隔膜下にfree airを認めた. CTで穿孔部と思われる胃壁の断裂を認め,胃穿孔と診断し,大網充填術を施行した.手術では,胃体上部前壁小彎側に8mmの穿孔を認めた.第10病日に施行した内視鏡検査では,胃体上部小彎の「O' (III+IIc) T2」の進行胃癌と診断した.生検診断では印環細胞癌であった.第24病日に胃全摘,脾臓合併切除, D2郭清を施行した.病理組織学的には深達度mの早期胃癌であった.患者は術後7ヵ月経過した現在,再発の兆候なく健在である.
われわれは胃穿孔症例に対しては,潰瘍病変の治療としてまず大網充填術を行い,術後の胃内視鏡で悪性の診断がついた場合には,二期的に根治術を行うのが良いと考えている.

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