2000 年 61 巻 4 号 p. 977-980
Meckel憩室の多くは無症状に経過するが腸閉塞,憩室炎,穿孔等の急性腹症として外科的治療の対象となることもある. Meckel憩室を起因とした腸閉塞に対する手術を2例経験したので,文献的考察を加え報告する.
症例1, 19歳男性,過去数回,原因不明の腸閉塞症状があり,保存的治療で軽快していたが,今回,改善を認めず手術となった.回腸に狭窄部位があり腸切除を施行, Meckel憩室を先進部とした腸重積であった.
症例2, 18歳男性,右下腹痛にて受診,過去手術の既往はなかった.急性腹症,腸閉塞の診断で手術を施行した. mesodiverticular vascular bandを起因とした絞扼性イレウスであったが,腸管の虚血性変化は少なく,憩室切除のみを施行した.
腸閉塞症状を呈する比較的若い年代の症例に遭遇した場合,本疾患の可能性がある事を念頭におくべきと考えられた.