日本臨床外科学会雑誌
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魚骨が原因と考えられた急性虫垂炎の1例
大楽 耕司西 健太郎久我 貴之善甫 宣哉江里 健輔亀井 敏昭
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キーワード: 急性虫垂炎, 魚骨
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2000 年 61 巻 4 号 p. 991-994

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抄録

魚骨が原因と思われる急性虫垂炎の稀な1例を経験したので報告する.症例は21歳,女性.右下腹部痛,下痢を主訴に当院を受診.受診時,右下腹部に限局性の疼痛,圧痛および軽度の筋性防御を認めた.血液検査では白血球数13900/μl, CRP 1.Omg/dlと上昇していた.腹部CT検査では右下腹部において,虫垂の腫脹と線状のhigh density areaが認められ糞石が疑われた.以上の所見より急性虫垂炎の診断のもとに手術を施行した.術後の病理診断は蜂窩織炎性虫垂炎で,摘出標本における虫垂内腔には1cm長の魚骨を認めた.虫垂炎は虫垂内腔の閉塞およびそれに併う細菌感染より生じると考えられている.今回の症例では,魚骨が虫垂内腔の閉塞をきたし虫垂炎を惹起したと考えられた.

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