日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
発見契機が異なる虫垂粘液嚢胞腺腫の3例
内田 正昭木許 健生大野 智鈴木 喜雅東儀 公哲三島 巌
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 61 巻 4 号 p. 995-999

詳細
抄録

発見契機が異なる虫垂粘液嚢胞腺腫3例を報告し,最近5年間の自験例を含む本邦報告64例の術前診断および治療の現況を考察した.[症例1]69歳,男性.食欲不振の精査中血清CEA高値を指摘される.これを契機に各種画像検査で本症と診断した.[症例2]85歳,女性.大腿ヘルニア根治術施行時,ヘルニア嚢にゼリー状物質が付着していた.病理組織所見で腹膜偽粘液腫が疑われ精査したが,卵巣嚢胞と鑑別つかず術中本症と診断した.[症例3]68歳,女性.検診の腹部超音波検査で偶然右下腹部に嚢胞性腫瘤認められ,これを契機に精査し本症と診断した.以上の全例に盲腸部分切除術を施行した.今回の集計で,本症の術前診断率は向上しているが,良性と悪性の鑑別は依然困難であり,半数以上に回盲部切除術以上の術式が選択されていた.本疾患に対しては再手術の可能性を説明して初回の手術侵襲は最低限にとどめるべきと思われた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top