日本臨床外科学会雑誌
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早期直腸癌におけるEUS深達度診断の有用性と問題点
馬場 信年多幾山 渉亀田 彰右近 圭佐伯 修二向田 秀則平林 直樹久松 和史岩森 茂
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2000 年 61 巻 5 号 p. 1140-1145

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抄録

超音波内視鏡(EUS)深達度診断後手術され,臨床病理学的に解析された早期直腸癌18例(m癌10例, sm癌8例)を対象に,早期直腸癌の手術術式選択におけるEUS深達度診断の有用性と問題点を検討した.術式は, m, sm1癌は局所切除, sm2, sm3癌はリンパ節郭清を伴う直腸切除を適応とした. EUS診断は, 18例中15例(83.3%)で適切な術式を選択する診断がなされており,早期直腸癌の深達度診断,術式選択に有用な検査であると考えられた.また, 18例中2例(11.1%)が描出困難, 1例(5.6%)が誤診であったが,原因として,腫瘍丈が高いためのエコーの減衰,腫瘍の存在部位による操作の困難性や腫瘍と腫瘍周囲の線維化の鑑別困難などがあり,今後の課題であるとともに,直腸指診や内視鏡検査との総合的な診断の必要性も示唆された.

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