日本臨床外科学会雑誌
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十二指腸限局クローン病の1例
村田 透長谷川 洋都築 豊徳小木曽 清二
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キーワード: 十二指腸クローン病
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2001 年 62 巻 12 号 p. 2943-2948

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抄録

症例は, 47歳の男性.食欲低下および腹部膨満感を主訴として近医を受診後,当院に紹介入院した.入院時の上部消化管造影,内視鏡検査では胃幽門輪から十二指腸球部にかけて高度の狭窄を認めた.腹部超音波, CT, MRIの各画像検査では胆嚢壁肥厚と胆嚢周囲の腫瘤を認めた.胆嚢癌との鑑別に苦慮したが明らかな悪性所見は認められず,胆嚢炎の波及による十二指腸狭窄と術前診断し,胆嚢摘出術,胃切除術(Billroth-II法再建)を行った.切除標本は病理組織学的に,胆嚢は慢性炎症,胃と一部合併切除した十二指腸はクローン病と診断した.また,術後の消化管の検索では,小腸大腸ともに異常を認めなかった.胃十二指腸に病変のおよぶクローン病は稀で特に本例のように十二指腸にのみ病変を認めるクローン病の本邦報告例は本症例を含めて4例と少ない.原因不明の十二指腸狭窄を認めた場合,本疾患も鑑別診断に入れて画像診断を行う必要があると考えられる.

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