2001 年 62 巻 12 号 p. 2953-2956
症例は36歳の男性,腹痛を主訴に来院した.腸閉塞症を伴い,入院後保存的に加療したが症状増悪し,手術を施行した.まず腹腔鏡下に精査したところ,小腸に癒着する後腹膜の腫瘤を認めた.癒着した小腸の圧迫による絞扼性腸閉塞症と診断し,開腹下に腫瘤を摘出し腸閉塞を解除した.病理組織検査の結果,腫瘤はアニサキス虫体を中心とした好酸球性肉芽腫であった.
小腸壁から後腹膜に穿通,肉芽を形成し,その圧迫により絞扼性腸閉塞症を生じた非常に稀な小腸アニサキス症を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.