日本臨床外科学会雑誌
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虫垂原発悪性リンパ腫の1例
林 忠毅世古口 務山本 敏雄大澤 一郎飯田 拓伊藤 史人櫻井 洋至中村 菊洋
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キーワード: 虫垂, 悪性リンパ腫
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2001 年 62 巻 12 号 p. 2966-2970

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抄録

症例は15歳,男性.右下腹部痛を主訴に来院した.来院時,体温37.1°C, Mc Burney点を中心に軽度の自発痛と圧痛および反跳痛が認められた.全身の表在リンパ節の腫脹は認めず,腹部所見では肝・脾ならびに腫瘤は触知しなかった.末梢血検査では白血球数8,900/mm3と白血球数の増多は軽度であった. CRPは陽性であった.腹部超音波検査および腹部CTでは右下腹部,虫垂の部位に腫瘤が認められたため急性虫垂炎の診断にて手術を施行した.虫垂は根部より約3cmの正常な部位と,先端部に8.5×5×5cmの腫瘤を認めた.周囲のリンパ節腫大は認めず,虫垂切除術を施行した.病理組織学的にはびまん性,大細胞型, B細胞性の悪性リンパ腫(LSG分類)であった.術後全身化学療法(CHOP, 6クール)を行い,術後13カ月の現在再発の徴なく社会復帰している.

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