2001 年 62 巻 12 号 p. 3002-3007
アメーバ性肝膿瘍腹腔内破裂の1例を報告する.【症例】37歳男性,不特定多数の女性と接触があった. 1カ月前より全身倦怠, 6日前より悪寒・発熱を認めていた.安静時に突然右季肋部激痛が出現し,腹部全体に広がった.肝S7に10cm大の膿瘍,腹腔内に液貯留を認めた.腹腔穿刺で膿性腹水を認め,検鏡にて赤痢アメーバ虫体を確認し,本症と診断した.経皮経肝膿瘍ドレナージ(PTAD)後に開腹し,腹腔洗浄ドレナージを行った.直ちに化学療法を開始し,速やかに解熱した.膿瘍の縮小は順調で, 1カ月後に軽快退院した.