日本臨床外科学会雑誌
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膵管癒合不全を伴った膵漿液性嚢胞腺腫の1例
海堀 昌樹高井 惣一郎小池 保志辻 勝成今村 敦川口 雄才權 雅憲上山 泰男
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2001 年 62 巻 12 号 p. 3035-3039

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抄録

症例は59歳,女性.腰背部痛にて近医受診し,腹部エコー検査にて膵尾部に嚢胞性病変を指摘され,精査目的にて当院入院となる. ERP検査では,主乳頭からの造影で樹枝状に短く終わる腹側膵管が造影されたが,副乳頭は内視鏡的に不明であった. MRI検査では病変部にT1強調像で低信号, T2強調像で高信号として描出されたが,内部の微細な隔壁構造は描出しえなかった. MRCPでは背側膵管が末梢まで描出された. ERP, MRCP所見より,腹側および背側膵管は癒合しておらず,膵管癒合不全と診断された. EUS検査では腫瘍は蜂巣状の小嚢胞構造を呈した.膵管癒合不全を伴った膵嚢胞性腫瘍の診断で平成12年9月19日脾温存膵体尾部切除術を施行した.腫瘍は17×11mm大,割面は大小多数の嚢胞の集合像を認め,病理組織学的には漿液性嚢胞腺腫であった.文献上検索しえた限りでは膵管癒合不全と膵漿液性嚢胞腺腫との合併は本例が3例目であった.

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