日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
脾炎症性偽腫瘍の2例
平田 稔彦山根 隆明松金 秀暢
著者情報
キーワード: 脾臓, 炎症性偽腫瘍
ジャーナル フリー

2001 年 62 巻 12 号 p. 3040-3044

詳細
抄録

脾の炎症性偽腫瘍は,病理組織学的に炎症細胞浸潤と間葉組織の修復に特徴づけられる腫瘤性病変である.最近,第1例目は確定診断には至らなかったが,第2例目は初回例の経験から本症を強く疑い摘脾術を施行した脾原発炎症性偽腫瘍の2例を経験したので報告する.いずれも自覚症状はなくエコー検診で異常を指摘された.症例1: 79歳,男性.エコー, CT検査にて脾門部に5cm大の腫瘤性病変を指摘された. Gaシンチにて脾にuptakeを認めたため悪性リンパ腫を疑い脾摘術を行った.症例2: 67歳,女性. 3年間の経過観察中に増大傾向を認めたため手術目的で紹介された.エコー, CT, MRIにて脾下極に6cm大の腫瘤性病変を認めたが確診に至らず,第1例目の経験と除外診断より本症を強く疑い手術を施行した.このように本症の存在を念頭において診断を行えば,ある程度術前診断は可能であると考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top