日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
広範な腹壁損傷を合併したバイクのハンドル外傷の1例
吉村 高尚
著者情報
キーワード: 腹壁損傷, ハンドル外傷
ジャーナル フリー

2001 年 62 巻 12 号 p. 3045-3047

詳細
抄録

今回,われわれは,転倒時にオートバイのハンドルが受傷機転となり,下腹部広範囲な腹壁損傷をもたらした1例を経験したので報告する.
症例は, 24歳,男性.平成11年9月4日,オートバイで走行中(ヘルメット着用)に自己転倒し受傷し,当救命救急センターに搬送された.来院時,意識は清明.四肢の骨折および脊椎の損傷はなかったが,左下腹部全体に広範囲にデグロービング様の腹壁損傷がみられ,腸管の脱出を認めた.また,小腸穿孔および左腸骨骨盤骨折を認めた.本例では創の形態から,転倒時に患者が運転していたバイクのハンドルの右側のアームが,患者の右前方より左下腹部に突き刺さるような鈍的外力として働き,生じたものと推測された.
今後,バイクのハンドルによる腹部外傷から,運転者を守る対策が必要である.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top