日本臨床外科学会雑誌
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大網に孤在した成熟嚢胞性奇形腫の1例
藤政 篤志藤政 浩志藤政 志朗
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2001 年 62 巻 12 号 p. 3048-3053

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抄録

大網に単独で存在した成熟嚢胞性奇形腫を経験したので報告する.
症例は74歳,女性で,右下腹部腫瘤触知にて入院.腹部X線,超音波, CT検査にて右下腹部(回盲部内側)に周囲の石灰化および内腔に充実性の部分を伴う逆飄箪型の嚢胞性腫瘤がみられた.
手術所見としては,大網先端部に10×7×4cm(重量120g)の腫瘤がみられ,付着した大網を切離し,摘出した.その他の臓器では,子宮体部に漿膜下筋腫が2個みられた以外には卵巣,後腹膜などに腫瘤を認めなかった.
病理組織所見としては,成熟した毛髪,骨および白体様組織がみられ,成熟嚢胞性奇形腫と診断された.
大網の奇形腫は極めて稀であり,検索しえた範囲では,今回の症例は大網の奇形腫(類皮嚢胞腫を含む)としては,本邦文献上, 7例目であった.

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