2001 年 62 巻 3 号 p. 693-698
うっ血性心不全をともなう虫垂周囲膿瘍に対し, CTガイド下経皮的ドレナージにて保存的に治癒した症例を経験したので報告する.症例は65歳男性で,右下腹部痛のため当院へ来院した.右下腹部に圧痛とBlumberg徴候を認め,血液検査にて白血球, CRPの上昇を認めた.腹部CT,エコーにて,腫大した虫垂と虫垂周囲組織の腫瘤形成を認め,急性虫垂炎と診断された.うっ血性心不全のため,手術を回避し, FMOX 2g/日4日間点滴, ISP 400mg/日5日間点滴, CPDX-PX 200mg/日7日間内服にて保存的に軽快退院した. 5カ月後,右下腹部痛のため再入院となり,前回同様の画像所見のためISP 400mg/日投与した.しかし, 9日後に骨盤内膿瘍が認められたため, CTガイド下経皮的ドレナージ術を施行した. 2週後に排膿がなくなり, 4週後にカテーテルを抜去した.本疾患に対する経皮的ドレナージ術は,安全で有効な治療法であった.