日本臨床外科学会雑誌
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S状結腸切除術後の虚血性直腸炎の1例
福島 忠男亀田 久仁郎長田 俊一高橋 徹也高橋 利通
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2001 年 62 巻 3 号 p. 748-751

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抄録

症例は59歳の男性. 3年前にS状結腸癌でS状結腸切除+D3郭清を受けた.平成11年3月24日より肛門痛が出現.下部消化管内視鏡でS状結腸切除の吻合部から肛門管にかけ粘膜は発赤し,白苔を有する潰瘍が多発していた.しかし吻合部より口側の粘膜には異常を認めなかった.骨盤部のCTでは直腸壁の肥厚と周囲のdirty fat signが認められた.内視鏡下の生検の組織学的検査で,好中球の浸潤と出血,浮腫が認められた.虚血性直腸炎と診断し中心静脈栄養管理したが軽快せず,横行結腸人工肛門を造設した.症状は術直後より軽快し,内視鏡所見でも正常所見になったため,人工肛門造設後6カ月で人工肛門閉鎖を行った.術後8カ月が経過しているが再発の兆候はない.

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