日本臨床外科学会雑誌
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子宮内避妊リングによる骨盤内感染により直腸S状結腸狭窄をきたした1例
中尾 武稲次 直樹吉川 周作高村 寿雄増田 勉中島 祥介
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2001 年 62 巻 3 号 p. 744-747

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抄録

われわれは子宮内避妊リング (intrauterine device: IUD)による骨盤腹膜炎に起因する直腸S状結腸狭窄を呈した症例を経験した.患者は46歳,女性.主訴は下腹部痛,排便困難.血液検査所見で著明な炎症反応を認めた.注腸X線検査,内視鏡検査で直腸S状結腸に狭窄所見を認めた.下腹部CTでは子宮筋腫,右卵巣嚢腫が疑われ, S状結腸の腸管壁肥厚が疑われた.大腸癌あるいは炎症による直腸S状結腸狭窄,腸閉塞と診断し,手術を施行した.開腹所見では回腸末端,右卵巣が子宮後方に癒着しており,直腸S状結腸は漿膜面の炎症性変化があり,腸管は非常に硬くなっていた.付属器炎などからの骨盤腹膜炎による直腸S状結腸狭窄と診断し直腸切除術を行った.術後5カ月で腹腔内膿瘍が再燃し,保存的治療で軽快しないため開腹ドレナージ術を行った.術後IUDを抜去された後,現在まで良好に経過している.

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