日本臨床外科学会雑誌
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インターフェロン著効後,約6年の経過で発症した肝細胞癌の1例
坂田 直昭鈴木 正徳海野 倫明及川 昌也松野 正紀遠藤 希之
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2001 年 62 巻 3 号 p. 761-766

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抄録

インターフェロン(IFN)療法でHCVが陰性化したにもかかわらず,約6年間の経過を経て発症した肝細胞癌の1切除例を報告する.症例は59歳・男性.HCVの感染経路は不明.平成6年,近医にてC型慢性肝炎を指摘された.同年, IFN療法を施行され,血中HCV-RNAは持続陰性化し, IFN療法著効例と考えられた.しかし, IFN療法終了後約6年の経過を経てAFPとPIVKA-IIの上昇がみられたため,腹部CTを施行したところ, S8領域に径3cmの腫瘤を認めた.画像上,肝細胞癌と診断され肝切除術が施行され,切除標本の癌部および非癌部における肝組織内HCV-RNA量を定量することが可能であった. IFN療法が著効した症例でも,経過観察中に肝細胞癌の発症をみることがあり,ウイルス駆除のみに目を奪われることのない綿密な画像診断による経過観察が必要である.

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