日本臨床外科学会雑誌
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吸収性フェルトが有用であったNSAIDs十二指腸潰瘍の1例
原田 幹彦原田 昌和大原 正己
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2001 年 62 巻 8 号 p. 1891-1894

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抄録
胆嚢動脈,総胆管に穿通したNSAIDs十二指腸潰瘍の1例を経験したので報告する.症例は86歳,女性.変形性膝関節症のため長期間NSAIDs服用中吐血が出現した.内視鏡検査で十二指腸球後部に出血を認め,止血困難であったため緊急手術を施行した.開腹時十二指腸球後部小彎と胆嚢頸部とが癒着し,凝血塊の付着を認めた.癒着を〓離すると十二指腸球後部小彎~後壁は3cmにわたって穿孔し,周囲の硬化・浮腫が著明であった.胆嚢頸部~総胆管が潰瘍底となり,胆嚢動脈の一部は瘤状で出血を認めた.総胆管は簾状に穴があき,胆汁の漏出を認めた.胆嚢摘出, Cチューブドレナージ後ポリグリコール酸フェルトを用いて総胆管修復,十二指腸穿孔部閉鎖および大網充〓を施行した.術後リーク,通過障害なく,H2プロッカー投与により十二指腸潰瘍は瘢痕化した.脆弱組織の縫合閉鎖には吸収性フェルトによる補強が有用であった.
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