日本臨床外科学会雑誌
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胆嚢癌に併存した胆管性肝過誤腫の1例
和久 利彦岡田 博文高木 英幸元井 信
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2002 年 63 巻 3 号 p. 653-656

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抄録
症例は81歳の男性.全身倦怠感を主訴に当院入院.肝機能異常を認めたため腹部超音波検査,腹部CT, MRCP, ERCPを施行し,胆嚢結石,胆嚢炎,総胆管結石と診断した. ESTにて総胆管結石を摘出した後,後日手術を施行した.手術所見で胆嚢癌の肝床部直接浸潤,肝S4表面に0.3cm大の結節を1個認めた.病理組織診断にて胆管性肝過誤腫と診断された.本症は比較的稀な疾患で本邦における報告例は少ない.本症は自覚症状がなく臨床的に異常を引き起こすことはないが,画像上および術中所見上肝転移との鑑別が問題となる.胆嚢癌と併存した本症の報告例はなく,極めて微小で単発の本症のため術前・術中に診断することは不可能であった.
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