日本臨床外科学会雑誌
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胃癌術後の難治性肝リンパ漏に対してOK-432による保存的治療が有効であった1例
小笠原 豊東 晃平岡野 和雄
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キーワード: 胃癌, 肝リンパ漏
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2002 年 63 巻 3 号 p. 661-664

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抄録
症例は63歳,男性. 2000年2月28日,慢性肝炎を合併した進行胃癌症例に対して胃全摘術(D3,ただしNo. 16a2, 16b1はせず),胆摘,脾摘術を施行した.術後,左横隔膜下腔に留置したドレーンからの排液は減少せず,約2,000ml/dayに達した.術後36日目より69日目にかけて5回にわたり,計35KEのOK-432を腹腔内にエコーガイド下穿刺注入した.術後80日目には排液は100ml/dayに減少した.術後1年を経過した現在,腹水はほぼ消失し,また再発も認めず外来にて経過観察中である.
肝疾患を有する症例にNo. 12郭清をおこなう際には,原疾患の根治性とともに,肝リンパ漏を念頭に置く必要があると思われた.
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