日本臨床外科学会雑誌
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低ゴナドトロピン性性腺機能低下症と結節性硬化症に大腸癌を合併した1例
柴地 隆宗吉村 淳金村 哲宏吉川 高志
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2002 年 63 巻 4 号 p. 1009-1012

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抄録

低ゴナドトロピン性性腺機能低下症と結節性硬化症に大腸癌を合併した1例を経験した.症例は36歳,男性.腹部膨満感を訴え,来院した.入院時現症では腹部の圧痛,膨満を認め,また,顔面の脂腺腫・性器の発育不全を認めた.てんかんを指摘されており,他院で治療を受けていた.諸検査にて,回盲部腫瘤による腸閉塞と診断,当日手術を施行した.開腹所見では,盲腸癌であった.術後2・3日目にてんかん発作を認めた他は経過順調であった.テストステロン補充療法・抗癌剤投与を行ったが,1年6カ月で再発し,死亡した.
結節性硬化症は顔面の皮疹・痙攣発作・知能発育遅延を3主徴とする疾患である.本症例の低ゴナドトロピン性性腺機能低下症は思春期前より低ゴナドトロピン状態が持続し, 2次成長を欠いた類富官体型を呈する例であった.

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