日本臨床外科学会雑誌
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主膵管狭窄を呈した非機能性小膵島細胞腫の1例
山崎 真敬滝沢 建市川 雅吉岡 政洋岩崎 靖士
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2002 年 63 巻 4 号 p. 1005-1008

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抄録

症例は56歳の女性で,膵頭部の非機能性膵島細胞腫の診断にて,膵分節切除・尾側膵空腸吻合術を施行した.腫瘍は11mm×15mm大と極めて小さい段階で発見され, ERCP, MRCPなどにて主膵管に狭窄を認めた.組織学的にも良悪性を鑑別することが困難であるといわれているが,本症例では腫瘍が浸潤性に増殖し,また,血管壁への浸潤も伴うことから,生物学的に悪性の範疇に属すると考えられた.非機能性膵島細胞腫は特有な症状に欠け,検査値にも大きな異常を認めないことから腫瘍がかなりの大きさになって発見される例が多いが,原発巣の切除が可能であれば5年生存率は72%と良好であり,肝転移を有する場合でもTAEなどが有効であること,また小さなものでも悪性例が報告されていることから積極的に切除術を行う必要があると考えられる.

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