日本臨床外科学会雑誌
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75歳発症の巨大結腸症を合併した潰瘍性大腸炎の1例
内田 寿博塚本 義貴中尾 照逸
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2002 年 63 巻 4 号 p. 936-939

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抄録

症例は75歳,男性.粘血便を主訴に来院され,直腸鏡および注腸検査にて全大腸炎型,重症の潰瘍性大腸炎と診断し入院となった.ステロイド投与と腸炎食にて軽快したが,ステロイドを減量していく過程で,腹部単純X線にて横行結腸の著明な拡張を認め,巨大結腸症と診断した.しかし中毒症状は認めず,保存的治療にて横行結腸径は縮小し,巨大結腸症は軽快した.しかしその後,腹膜炎症状出現のため保存的治療の限界と考え,大腸亜全摘術を施行し,回腸人工肛門を造設した.摘出標本では上行結腸,横行結腸右側が穿孔寸前にまで脆弱化していた.術後経過は比較的良好であった.
診断から手術に至るまでに長期間を要した高齢発症の潰瘍性大腸炎について,若干の文献的考察を加えて報告する.

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