日本臨床外科学会雑誌
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EMR後の外科手術にてリンパ節転移が確認された表在型Barrett腺癌の1例
岩沼 佳見富田 夏実天野 高行梶山 美明信川 文誠鶴丸 昌彦
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2003 年 64 巻 10 号 p. 2440-2443

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抄録
症例は42歳,男性.主訴,心窩部痛.既往歴,胆石症.上部消化管内視鏡検査所見で食道胃接合部より最長2.5cmのshort segment Barrett esophagus (SSBE)を認め,同部位に1.5cm大の0-IIa+IIc型病変を認めた.生検で管状腺癌を認め, SSBEに発生したBarrett食道腺癌と診断された.超音波内視鏡検査で深達度mと思われたが不明確なため,診断的な内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行った.結果,深達度sm2, ly0, v0のIIa type,管状腺癌と診断され,側方・深部断端共に陽性であった.追加切除術は右第4肋間開胸開腹による食道胃上部切除, 2領域リンパ節郭清,胸骨後胃挙上再建術,胆嚢摘出術が行われた.その結果食道には癌の遺残を認めず,縦隔・腹部リンパ節(#110, #7)に転移を認めた. Barrett表在腺癌のリンパ節転移率は不明であり今後の症例集積が必要である.本症例では病理組織学的に2群リンパ節転移が陽性であり選択した手術アプローチが適切であった.
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