抄録
症例は54歳,女性. 1カ月前よりの腹満感を主訴に来院,黄疸が認められ胆石症と診断され精査目的にて入院となった. ERCPを施行し,当初総胆管結石と診断,内視鏡的に截石不可能であったため減黄目的にnaso-biliary drainage (以下NBD)チューブを挿入した.減黄処置後にNBDチューブ造影を行いMirizzi症候群と診断された. Endoscopic retrograde biliary drainage (以下ERBD)チューブに入れ替えた後,開腹手術を施行した.胆嚢管に嵌頓する径20mmの純コレステロール結石を認め,胆嚢摘出術,結石除去術を施行した. Mirizzi症候群は診断に苦慮することが多く,手術では炎症性癒着や肝門部の解剖学的把握の困難により胆管損傷をきたす症例が多い.本例においてERBDチューブは手術時の解剖学的指標として有効であった.