日本臨床外科学会雑誌
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下側方腹直筋皮弁法による同時乳房再建術を行った乳房切除乳癌症例7例の経験
大塚 裕一奈良 智之針原 康古嶋 薫小西 敏郎嶋田 絋
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2003 年 64 巻 11 号 p. 2686-2690

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抄録
乳房再建にはさまざまな方法があるが,筋皮弁を用いる方法としては,広背筋皮弁を用いる方法や水平腹直筋皮弁を用いる方法が一般的である.われわれは,乳癌に対する乳房切除手術と同時に上腹壁動静脈を有茎とした片側下側方腹直筋皮弁による乳房再建を7例に施行した.うち4例に対しては下腹壁動脈や静脈にマイクロ血管吻合を付加することにより皮弁血流の安定を図った.再建のために作成した皮弁面積は55~255cm2で,この下側方腹直筋皮弁でも比較的大きな皮弁を起こすことが可能である.手術時間は乳房切除,マイクロ血管吻合を含めて平均238分だった.腹直筋欠損部も一期的に縫合閉鎖が可能であり,手技的にも比較的容易で,合併症も少なく,美容上も有利で,一般外科医にも施行可能で,有用な乳房再建方法の選択肢の一つであると考えられる.
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