抄録
症例は40歳,女性. 20年前より,左腋窩の皮膚変化に気づいていたが副乳腺だと思い放置. 1年前より腫瘤状となり, 1カ月前から増大し受診した.左腋窩に8×7.5cmの硬い腫瘤を認めた.マンモグラフィー,超音波検査,胸部CT検査で左腋窩部に大きな充実性腫瘍を認めた.穿刺細胞診はclass IIIbで,異所性乳癌を疑い腫瘍摘出術,腋窩リンパ節郭清施行.腫瘍は境界明瞭,黄白色,充実性,分葉状であった.病理組織学的検査ではstoriform pattern (花むしろ模様)を示す隆起性皮膚線維肉腫が主体で,細胞密度が増し,紡錘形細胞が束状増殖(herringbone pattern)する線維肉腫領域も伴っていた.免疫組織化学検査でCD34が隆起性皮膚線維肉腫領域で陽性,線維肉腫領域でも部分的に陽性であった. 3年半無再発であるが,本症は再発率が高いとされており,厳重な経過観察が必要である.