日本臨床外科学会雑誌
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多発胃癌の経時的変遷
齊藤 素子梨本 篤藪崎 裕太田 玉紀
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2003 年 64 巻 2 号 p. 310-316

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抄録

多発胃癌症例における臨床病理学的所見の経時的変遷を検討した.対象は1981年から2000年末までの切除多発胃癌388例である. 1981年から10年間(前期)の138例と,それ以後の10年間(後期)の250例に分け,臨床病理学的事項の経時的変化を比較検討した.多発胃癌の頻度は前期6.9%,後期10.3%と増加傾向にあった.後期では年齢は50歳代, 70歳代の順に増加し,占居部位ではU領域,深達度ではsm癌が高率に増加していた.また, 3病巣以上が前期10.9%,後期24.0%と倍増していた.見逃し副病巣は63病巣(31.8%)と高率であり, 10mm以下の小さな病巣,および平坦型で多かった.多発胃癌,特にU領域早期癌を含む多発胃癌が増加しており,縮小手術を適応するには注意深い術前診断と同時に残胃の厳重な経過観察が必要である.

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