日本臨床外科学会雑誌
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CT,小腸造影で術前診断できた左傍十二指腸ヘルニアの1例
木暮 道夫植竹 正紀杉山 政則
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2003 年 64 巻 2 号 p. 332-336

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抄録

CT,小腸造影にて術前診断し,待期手術を行った左傍十二指腸ヘルニアの1例を報告する.症例は50歳,男性.食直後の左上腹部痛と嘔吐を主訴に“原因不明のsubileus”として前医より紹介された.腹部所見は左上腹部の軽い圧痛のみであった.非発作時CTでは小腸の拡張はみられないが,左上腹部にループ状の小腸とその腸間膜の血管の集中像がみられた.発作時CTでは膵胃間に著しい小腸の拡張と壁肥厚を認めた.小腸造影では空腸は左上腹部に塊状に描出され,狭小化した輪出腸管も造影された.これらの所見から左傍十二指腸ヘルニアと診断し,待期手術を行った. Treitz靱帯の左側の径4cmの裂孔より,空腸が約40cm陥入していた.腸管を整復しヘルニア門を閉鎖した. CT検査はイレウス発作時のみならず,非発作時においても何らかの異常所見が存在する場合があり有用である.また患者の訴えから内ヘルニアの存在を想定し,小腸造影を行うことが重要である.

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