2003 年 64 巻 2 号 p. 328-331
食道平滑筋腫は粘膜下腫瘍のなかでは最も多いが,石灰化を伴う症例は稀である.症例は66歳,男性.検診の食道胃造影検査にて異常を指摘され,当科紹介受診となった.食道内視鏡検査にて,胸部中部食道に隆起性病変を認め, bowling biopsyにて平滑筋腫と診断された.また食道造影検査および胸部CT検査にて腫瘍内に著明な石灰化を認めた. 1999年2月2日胸腔鏡下腫瘍核出術を施行した.腫瘍は粘膜下層にあり,一部全層切除を行い,順層的に縫合し修復した.切除標本の肉眼所見は大きさ4.0×1.5cmで,割面では腫瘍内部ほとんどに黄白色の石灰化を認めた.組織学的検査で平滑筋腫と診断された.以上胸腔鏡下腫瘍核出術は石灰化を伴った平滑筋腫にも有用であった.