抄録
症例は30歳の男性,腹痛を主訴に来院.腸閉塞の診断で入院したが,症状の改善なく手術を施行した.術中,回盲部から110cm口側の小腸に約20cmにわたる発赤を認め,一部膿様白苔を認めたため小腸部分切除を施行した.切除標本では小腸粘膜はびまん性に浮腫状変化を示し,一部発赤の強い潰瘍性病変を認めた.病理組織学的には広い範囲に好酸球主体の炎症を認め,粘膜下にアニサキス虫体を認めた.小腸アニサキス症は比較的稀な疾患であり術前診断は一般に困難である.腸閉塞症状で発症した小腸アニサキス症の1例を経験したので報告する.