抄録
肝嚢胞性腫瘍の長期にわたる経過は十分には知られていない.今回,経過観察中に興味ある形態変化を呈した2例の肝嚢胞性腫瘍を経験したので報告する.症例1は51歳,女性.巨大肝嚢胞を指摘されるも経過観察となった. 4年後にS状結腸癌を指摘され当科入院となった.術前精査にて肝嚢胞部分は劇的な形態学的変化がみられ,更に嚢胞内に充実性成分を有し,肝嚢胞腺腫と診断した. S状結腸切除術および拡大肝左葉切除術を施行し,病理所見でも肝嚢胞腺腫の診断であった.症例2は50歳,男性.肝嚢胞性腫瘍を指摘され精査を勧められるも放置していた. 7年後に腹部膨満感にて当科再受診時には切除不能の肝嚢胞腺癌と診断された.比較的大きな肝嚢胞性病変においては,単純性肝嚢胞と考えられても嚢胞腺腫あるいは嚢胞腺癌へ発展しうるpotentialを念頭に置き,定期的な経過観察を行う必要があると考えられた.