日本臨床外科学会雑誌
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ヘルニオグラフィーにて術前診断し,腹腔鏡下手術を施行した両側閉鎖孔ヘルニアの1例
中村 昌樹小島 由光諏訪 大八郎鈴木 実
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2003 年 64 巻 2 号 p. 493-496

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抄録
閉鎖孔ヘルニアは従来術前診断困難とされていたが,近年画像診断の進歩に伴い,術前診断される閉鎖孔ヘルニアの報告も増加している.しかしながら非嵌頓症例においてはいまだ診断に苦慮することも多い.
今回われわれはヘルニオグラフィーにて術前診断し,待機的に腹腔鏡下手術を行った両側性の非嵌頓閉鎖孔ヘルニア症例を経験したので報告する.
症例は75歳,女性,繰り返す腹痛と左大腿部痛を主訴に当院を受診した.エコー, CTでは明らかな所見を認めなかったが,症状から閉鎖孔ヘルニアを疑い,ヘルニオグラフィーを行った.両側閉鎖孔部に一致して,腹腔外に突出するヘルニア嚢を認め,両側閉鎖孔ヘルニアと診断し,腹腔鏡下に根治術を行った.
ヘルニオグラフィーと腹腔鏡下の手術との組み合わせは,特に両側性の非嵌頓閉鎖孔ヘルニアの場合有用であると思われた.
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