抄録
症例は42歳,男性. 5年前より陰嚢が徐々に膨隆し,今回巨大陰嚢を友人に指摘されて来院した.陰嚢は超ラグビーボール大に膨隆し,陰茎は埋没していた.陰嚢表面から腸蠕動がわかり,腸閉塞症状は認めないが用手的還納は不可能であった.右非還納性鼠径ヘルニアと診断し,手術を施行したところ,回腸から上行結腸がヘルニア嚢内に癒着していた.右精索は肥厚していた.胃・十二指腸がヘルニア門付近まで牽引されていた.ヘルニア嚢内より腸管を剥離,腹腔内に還納した. Iliopubic tract repairにて後壁を補強,さらに腹腔内からヘルニア門上に結腸を固定し,ヘルニア門を後腹膜化した.術後呼吸不全,深部静脈血栓症を認めたが軽快,現在ヘルニア再発を認めていない.