日本臨床外科学会雑誌
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長期生存症例からみた胆嚢癌の術式
内村 正幸
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2003 年 64 巻 3 号 p. 535-542

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抄録

胆嚢癌は,癌の壁深達度により予後が大きく左右される.深達度m, mpの早期癌では癌はほとんど胆嚢に限局していて,胆嚢摘出だけでも長期生存が得られる.しかし, ss以上の進行癌になると5年生存率は急速に低下し,肝合併切除が必要となる.今回自験胆嚢癌160例(病巣切除可能症例131例)を中心に長期生存症例からみた胆嚢癌術式を検討した.切除症例を癌の壁深達度別に分類すると早期癌(m, mp癌) 28.2%,進行癌71.8%と進行癌の比率が極めて高い. ss癌39例中18例(46.2%)が3年以上生存していて,この内6例は10年以上となり,最長23年となる.これら長期生存例は,いずれもS5中心肝切除かS4a+S5を主体とする肝合併切除症例である.胆嚢癌の肝転移については直接浸潤やリンパ行性転移の他に胆嚢静脈を介する血行性転移が関与し,初期転移の部位は胆嚢静脈と交通するS4a, S5,の門脈支配領域に高く,比較的早期のss癌に於いても,この領域の肝合併切除が長期生存につながる.

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