抄録
腰ヘルニアは,腰部の解剖学的抵抗減弱部位である上,下腰三角に発生する稀なヘルニアである.最近われわれは各々の部位に発生したヘルニアの2例を経験した.
症例1は59歳,男性.左腰背部に腹圧をかけると膨隆する9×7cm大の無痛性で弾性軟な腫瘤が出現した. MRI検査で後腹膜脂肪組織の脱出する左上腰ヘルニアと診断し, PHSを用いた根治術を施行した.症例2は55歳,女性.人工股関節障害に対し左腸骨移植片採取による左人工股関節再形成術を施行した.術後,腸骨欠損部上方より腹腔内臓器の脱出を認め,下腰ヘルニアの診断でPHSを用いた根治術を施行した.両者とも経過は順調で術後愁訴もなく,現在まで再発は認めていない.
腰ヘルニアは非常に稀な疾患で治療法が検討されているが,今回われわれが施行したPHSによる修復法は, tension-freeであり術後愁訴が少ないこと,侵襲が少なく補強も強固であることより,非常に有効であった.