日本臨床外科学会雑誌
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Paclitaxelによる間質性肺炎で死亡した進行乳癌の1例
中久保 善敬直江 和彦奥芝 知郎松村 祥幸渡辺 不二夫川村 健
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キーワード: 進行乳癌, 間質性肺炎
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2003 年 64 巻 4 号 p. 823-826

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抄録

進行乳癌に対するpaclitaxel治療中に間質性肺炎を発症し死亡した1例を経験した.症例は61歳の女性.呼吸苦を主訴に当院呼吸器内科を受診したが,皮膚浸潤を伴う乳腺腫瘍と両側性の胸水貯留を指摘され当科へ紹介された.癌性胸膜炎を伴う進行乳癌と診断し175mg/m2/月のpaclitaxel治療を開始した.第1クール終了後にgrade 3の白血球減少と好中球減少を認めたが他には特に副作用を疑わせる所見は認めなかった.第2クール終了時には胸水も著明に減少し呼吸苦も消失したが,数日後に両側性の間質性肺炎を発症した.ステロイド投与を開始したが改善することなく4日後に死亡した.他に原因となる要素がないことなどから, paclitaxelの副作用によるものと考えられた.乳癌に対するpaclitaxel治療で発症した間質性肺炎の報告は極めて少ないが,生じうる副作用として留意する必要があると考えられた.

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