日本臨床外科学会雑誌
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大腸癌胃壁転移の1例
志田 敦男三森 教雄渡部 通章羽田 丈紀川野 勧山崎 洋次
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2003 年 64 巻 4 号 p. 870-873

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抄録
横行結腸癌術後3年目に胃壁転移をきたした症例を経験したので報告する.症例は71歳,女性.背部痛を主訴として来院した.平成9年7月横行結腸癌に対し,結腸左半切除術を施行された既往がある.全周性2型で病理診断は深達度se, ly 1, v1,中分化型腺癌, n1 (+), stage IIIaであった.平成12年1月主訴が出現し,上腹部CTを施行したところ,腹腔内腫瘤を指摘され,横行結腸癌のリンパ節転移と判断し,平成12年11月幽門側胃切除術を施行した.腫瘤は胃から十二指腸にかけての壁内(主座は節層)にとどまっており,境界明瞭で粘膜面,漿膜面への浸潤は認められなかった.その組織像は大腸癌の組織型と一致していた.大腸癌の胃壁転移は本邦において, 1967年以降11例の報告を認めるのみで極めて稀である.若干の文献的考察を加えて報告する.
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