日本臨床外科学会雑誌
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血友病Aに合併した残胃癌の1例
市川 英幸田中 聡行池野 龍雄尾崎 一典町田 水穂
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キーワード: 残胃癌, 血友病A
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2003 年 64 巻 4 号 p. 874-878

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抄録

高齢で血友病と診断され,残胃癌の手術が行われた稀な1例を報告した.症例は71歳,男性. 41歳時に他院で胃潰瘍で胃切除が行われ,止血困難で術中4,000~5,000mlの大量の輸血を受けた. 2001年8月出血性吻合部潰瘍の診断で入院,内視鏡的治療で止血した. 9月前立腺肥大症の手術予定で行った血液検査上,活性化部分トロンボプラスチン時間72.3秒,第VIII因子活性1%以下で,血友病Aと診断された. 2002年1月貧血が再び出現し,胃内視鏡検査で吻合部に隆起性病変があり,生検で低分化型腺癌の診断であった.術前,術中第VIII因子濃縮製剤の補充療法を行い,残胃全摘,脾合併切除を行った.術後14日間第VIII因子濃縮製剤を投与した.術後21日目に空腸空腸吻合部からの再出血があり再度第VIII因子補充療法を14日間行い止血し,術後38日目に退院した.

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