日本臨床外科学会雑誌
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非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)起因性と考えられた小腸潰瘍穿孔の1例
平岡 圭西山 徹高橋 亮久保田 宏加藤 紘之
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2003 年 64 巻 5 号 p. 1129-1132

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抄録

本邦では稀な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)起因性と考えられた小腸潰瘍穿孔を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は69歳,男性.尿管癌術後再発による疼痛に対し, diclofenac sodium坐剤(150~300mg/日)を使用していた.突然生じた持続する腹痛を主訴に来院.腹部CT検査にてfree air,腹水を認めたため,消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.終末回腸の腸間膜対側に穿孔と漿膜のみが保たれた深い潰瘍病変を認めたため,それぞれに対し小腸楔状切除を施行した.病理組織学的には悪性所見は認めず,非特異的潰瘍であった.術後はNSAIDを中止し,原病の進行による死亡までの3カ月間,症状の再発は認めなかった.

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