抄録
進行癌との鑑別を要したPeutz-Jeghers症候群の1例を経験した.症例は25歳男性で,主訴は嘔吐と腹痛. PJ症候群との診断で21歳時に小腸ポリープ切除を受けている.小腸造影では狭窄はみられなかったが,散在するpolypの存在を認めた.イレウスの診断にて開腹手術を施行した.回腸末端より口側150cmの部に径3.5×2.5cm大で硬く,漿膜面に混濁を伴う不整な隆起性病変を認め,小腸癌の合併が否定できないため,小腸部分切除を施行した.組織学的診断は腺上皮のmisplacementで悪性所見はみられなかった.患者は術後5年を経過し現在,経過良好である.