2004 年 65 巻 1 号 p. 98-102
早期に肝転移を認めた十二指腸乳頭部腺扁平上皮癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告した.症例は74歳,女性.数日間続く悪寒,嘔吐,皮膚の黄染を主訴に前医を受診.閉塞性黄疸の診断にて当院紹介となった. PTBDによる減黄の後,十二指腸乳頭部癌の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD-IIIa)を施行した.病理組織診断は十二指腸乳頭部腺扁平上皮癌, AcAbBi, panc1 α, du1 α, n0, w0, stage IIであった.自験例は治癒切除をしたにもかかわらず,術後5ヵ月目に複数の肝転移巣を認めた.本邦報告18例による検討においても,乳頭部腺扁平上皮癌は病期にかかわらず予後不良であると推測された.