抄録
症例は50歳,男性.平成7年に十二指腸に発生したgastrointestinal stromal tumor (以下GIST)に対し,十二指腸部分切除を施行した.病理学的にはGIST, uncommitted typeでlow grade malignancyと診断された.その後再発を認めなかったが平成14年3月背部痛を主訴に近医受診し超音波検査で肝S7に径6 cm大の腫瘍を指摘された.当科での精査の結果,十二指腸平滑筋肉腫の肝転移と診断され,同年5月1日,肝右葉切除術を施行した.病理組織検査で, GISTの肝転移と診断され,原発巣に比して悪性度が高まっている所見がみられた.術後経過は良好であり退院後1年の経過観察中再発なく生存中である. Low grade malignancyと診断された原発巣切除後7年を経過して肝転移をきたしており, GIST症例における長期間の慎重なfollow upの必要性が示唆された.