日本臨床外科学会雑誌
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非機能性膵ラ氏島腫瘍と鑑別困難であった副脾の1例
山口 智弘小出 一真塩飽 保博武藤 文隆栗岡 英明細川 洋平
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2004 年 65 巻 4 号 p. 1056-1060

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抄録

非機能性膵ラ氏島腫瘍と鑑別困難であった副脾の1例を経験したので報告する.症例は35歳,男性.水様性下痢,心窩部痛を主訴に来院.超音波検査で膵尾部に直径1 cmのhypoechoic massを認め, CT検査では動脈相で均一に濃染され, MRI検査では, T1, T2強調画像でlow intensity massを認めた.血管造影ではhypervascular massを認めた.血液検査は膵ホルモンの上昇を認めなかった.以上より膵尾部に発生した非機能性膵ラ氏島腫瘍,または副脾と診断し手術施行した.組織学的には腫瘤は線維性被膜を有し,周囲の膵臓組織と明瞭に境界された正常の脾臓組織であった.膵尾部に発生した副脾はMRI T2強調画像以外,画像診断上膵内分泌腫瘍と酷似している.確定診断が困難な場合,脾シンチグラフィ, SPIO造影(ferumoxides) MRIを併用すべきであったと考えられる.

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