2004 年 65 巻 6 号 p. 1511-1514
外傷性気胸は頻繁に経験するが,手術に至る頻度は少ない.遷延する外傷性気胸の2症例に胸腔鏡下手術(VATS)を施行したので報告する.症例1: 17歳,男性.自転車で転倒し胸背部を打撲,近医を受診し右気胸を認めたため胸腔ドレナージが施行された.気漏が続くため当院に転院し, 7日目にVATSを施行した.肺尖部に裂傷が存在し,組織学的に外傷性病変と診断された.症例2: 69歳,女性.自動車事故にて当院に搬送された.右多発肋骨骨折は認めたものの気胸はなく,腹腔内出血に対して緊急手術を行った.術後3日目に気胸,高度の皮下気腫が出現し,胸腔ドレナージを施行した.気漏が遷延するため,ドレナージ後32日目にVATSを施行した.ドレーンが接触していたと思われる上葉に瘻孔を認め,同部を切除した.自然気胸と同様に,外傷性気胸でも気漏が遷延する場合にはVATSを考慮すべきであると考えられた.