日本臨床外科学会雑誌
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転移性胃癌と病理診断され, 9年後に胃リンパ球浸潤性髄様癌と訂正診断された1例
小原 弘嗣増田 靖彦丹羽 弘之宮永 克也平井 利幸
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1558-1562

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抄録

61歳女性の胃リンパ球浸潤性髄様癌の症例を経験した.胃体上部前壁に粘膜下腫瘍様の12mm径の中心に陥凹をもつ小隆起が存在した.転移性胃癌を疑い,原発巣の検索のため,全層標本を得る目的で腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.全層標本より,頭頸部からの転移が強く疑われたが,結局,原発巣は判明しなかった. 9年を経過した現在でも健在なことより,転移性胃癌ではなく,胃リンパ球浸潤性髄様癌と考えた.胃リンパ球浸潤性髄様癌は,比較的稀な疾患であり,かつ,粘膜下腫瘍の形態を示す事があり,診断に苦慮することが多いといわれている.なぜ,転移性胃癌という診断に至ったかという反省点も含め,若干の文献的考察を加え報告する.

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