日本臨床外科学会雑誌
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多発穿孔をきたした単純性小腸潰瘍の1例
松本 敦夫吉松 和彦石橋 敬一郎渡邊 清成高 義彦小川 健治
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1578-1582

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抄録

症例は71歳女性.主訴は右下腹部痛,急性腸炎の診断で投薬を受けたが軽快せず当院受診した.胸腹部単純X線像でfree air,小腸の鏡面像を認め消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断,同日緊急手術を施行した.手術所見は回腸の3箇所に径約3mmの穿孔を認めBauhin弁から口側約100cmの回腸の拡張と腸管壁の肥厚を認めた.穿孔部を含め回腸を約100cm切除する回盲部切除術を施行した.病理組織学的所見は打ち抜き状の深い潰瘍が多発し,非特異的急性炎症所見が認められた.単純性潰瘍または腸型Behçet病と診断したが, Behçet病の診断基準を満たさず,最終的に単純性潰瘍と診断した.単純性小腸潰瘍の多発穿孔は稀であり,若干の文献的考察を加え報告した.

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